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横山 須美; 佐藤 薫; 真辺 健太郎; 野口 宏; 金子 広久; 沖 雄一*; 飯田 孝夫*; 田中 進*
Radiation Protection Dosimetry, 127(1-4), p.392 - 397, 2007/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Environmental Sciences)高エネルギー加速器施設において、空気の核破砕反応によって生成される放射性核種の吸入による内部被ばく線量を評価するためには、核種の物理化学的特性が重要となる。しかし、高エネルギー陽子照射場において核破砕反応により空気中のArから生成される放射性塩素の性状に関する十分な情報がない。そこで、Arを添加した空気に48MeVの陽子を照射して生成される放射性塩素のエアロゾル・ガス比を測定した。また、放射性塩素エアロゾルの生成に寄与する非放射性エアロゾルの粒径分布及び化学形を測定した。この結果、放射性塩素は、エアロゾル,酸性ガス,非酸性ガスで存在すること,放射性塩素エアロゾルの割合は70%以上であること、放射性塩素ガスは30%が酸性ガス及び70%が非酸性ガスであることを明らかにした。また、照射初期段階の非放射性エアロゾル濃度は、2030nmにピークを持ち、10分後には、多くの粒子が200nm以下に幅広く分布した。このことから、加速器施設のビームライン周辺において、非放射性エアロゾルへの放射性塩素の付着により生成される放射性塩素エアロゾルの粒径は、ICRPのデフォルト値よりもかなり小さいと考えられる。
佐藤 薫; 野口 宏; 遠藤 章; 江本 豊*; 古賀 佑彦*; 斎藤 公明
Radiation Protection Dosimetry, 127(1-4), p.205 - 208, 2007/11
被引用回数:13 パーセンタイル:66.15(Environmental Sciences)内部被ばく線量評価に用いる比吸収割合(SAFs)の計算では、人体ファントムが必要である。しかし、これまでに開発された人体ファントムは、臥位姿勢の臓器位置及び形状を再現したものである。しかし、放射線に被ばくする時の姿勢はさまざまであることから、姿勢がSAFsに及ぼす影響を調べることは重要である。本研究では、立位のCT画像データに基づいてボクセルファントムを開発し、臥位と立位の姿勢の違いがSAFsに及ぼす影響を調べた。姿勢による臓器位置の変化を直接調べるため、発表者が既に開発している臥位姿勢の日本人成人男性ボクセルファントムであるJMと同じ被験者をボランティアとして選び、CT画像データを取得した。開発した立位姿勢ボクセルファントムは、JM2と名付けた。JM2のボクセルサイズは、JMと同じ約1mm角であり、臓器の形状及び位置を精密に再現している。本報告では、JM及びJM2の身体的特徴の違いについて述べるとともに、JM2の臓器における光子吸収割合をJMと比較し、両姿勢における吸収割合の違いを解析した。
栗原 治; 高田 千恵; 高崎 浩司; 伊藤 公雄; 百瀬 琢麿; 宮部 賢次郎
Radiation Protection Dosimetry, 127(1-4), p.411 - 414, 2007/11
被引用回数:7 パーセンタイル:47.34(Environmental Sciences)我が国では、民間再処理施設の操業を目前として、プルトニウムの体外への促進を目的としたキレート剤治療のための具体的な基準について現在議論が進められている。我が国においては事故時に人にキレート剤を投与した経験がないため、国際放射線防護委員会(ICRP)によって示された医療介入レベルに準じた実用的なアクションレベルについて検討を行った。キレート剤治療には迅速かつ的確な判断が要求されるため、著者らは鼻スミアに着目し、原子力機構における過去の事故事例に基づいて、鼻スミア中の放射能から誘導される内部被ばく線量の関係式を導出するとともに、キレート剤治療のためのアクションレベルを導出した。
木名瀬 栄; 斎藤 公明
Radiation Protection Dosimetry, 127(1-4), p.197 - 200, 2007/11
被引用回数:2 パーセンタイル:18.73(Environmental Sciences)本研究では、電磁カスケードモンテカルロ計算コードを用い、MIRD5型ファントムや人体を正確に表現するボクセルファントムの脳,心臓及び膀胱壁において、陽電子と消滅線の相互作用を正確に模擬した値-単位放射能あたりの臓器の平均吸収線量-評価を行った。その結果、脳や心臓については、「臓器内全吸収仮定」に基づく値は妥当であるが、膀胱壁については、「臓器内二分の一吸収仮定」に基づく値は妥当性に欠けることがわかった。信頼性の高い値を個人ごとに評価する手法として、モンテカルロ法を用いた本手法は極めて有効であることを確認した。
遠藤 章; 山口 恭弘; Eckerman, K. F.*
Radiation Protection Dosimetry, 105(1-4), p.565 - 569, 2003/09
被引用回数:12 パーセンタイル:62.23(Environmental Sciences)ICRP Publ.38に替わる線量計算用の新しい放射性核種崩壊データベースを開発するために、開発の手順及びそれに係る技術的課題について述べる。データベースの開発には、(1)評価済核構造データファイル (ENSDF) に対する整合性の評価,(2)データ編集に用いるEDISTRコードの改良,(3)他のデータベース等との比較による信頼性評価が必要である。これに対し、これまで原研が進めてきた線量計算用崩壊データベースDECDCの開発で得られた成果及び経験に基づき、データベース開発の進め方について、その方向と具体的方法について述べる。
木名瀬 栄; Zankl, M.*; 桑原 潤; 佐藤 薫; 野口 宏; 船曳 淳*; 斎藤 公明
Radiation Protection Dosimetry, 105(1-4), p.557 - 563, 2003/09
被引用回数:27 パーセンタイル:84.38(Environmental Sciences)内部被ばく線量評価では、比吸収割合 (SAF) を正確に求める必要がある。SAFは、ある線源組織内で特定の種類の放射線として放出されたエネルギーのうち、ある標的組織の単位質量あたりに吸収される割合として定義され、これまでMIRD-5型ファントムを用いて評価されてきた。しかし、近年CTやMRIにより得られた人体断面画像を利用して構築されたボクセルファントムが開発され、SAFのより現実的な評価が可能となってきた。原研では、これまで日本人成人のボクセルファントムを男女それぞれ1体ずつ (Otoko,Onago) 構築し、ボクセルファントムに対する外部被ばく線量評価用EGS4ユーザーコード (UCPIXEL) を開発した。本研究では、UCPIXELコードを内部被ばく線量評価用コード (UCSAF) に拡張し、そのコードの妥当性検証を行った。また、SAFに及ぼすファントムの相違の影響を検討した。
木名瀬 栄; 野口 宏; 中村 尚司*
Radiation Protection Dosimetry, 105(1-4), p.467 - 472, 2003/09
被引用回数:4 パーセンタイル:31.64(Environmental Sciences)近年、ゲルマニウム半導体検出器を用いた全身カウンタが構築されている。従来のNaI(Tl) シンチレーション検出器を用いた全身カウンタに較べ、高エネルギー分解能により体内混合核種の解析が容易になる。しかし、多様な人体全身に分布する核種に対し、小さな結晶のゲルマニウム半導体検出器を用いた全身カウンタでは測定視野が不十分になるため、検出器の個数や配置が重要になる。こうした状況を踏まえ、ゲルマニウム半導体検出器を用いた全身カウンタの最適設計を検討するため、ゲルマニウム半導体検出器の基礎的データであるピーク効率について計算シミュレーション及び実測を行い、計算によるピーク効率算出法の検証を行った。その結果、微小線源に関する光子エネルギーとピーク効率の関係 (ピーク効率曲線)ばかりでなく、ファントムのような体積線源に対するピーク効率についても、計算によって評価可能であることが明らかになった。したがって、ゲルマニウム半導体検出器を用いた全身カウンタを設計するうえで、本計算法の利用は非常に有効であるといえる。